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町が一望できる。今から行く高台も、道を通る車も、全部。
「やっぱりここからの眺めはいいよね…」
日の長い夏は、この時間になってもまだあたりを照らし、この町の有様をきれいに描いていた。
「ありがとうございましたー」
出入り口のところにいる人のいつも通りの挨拶。一日が終わろうとしている。
「じゃぁいこうか」
目的地まで電車で一本一本、目的の駅まで着くと、高台まで走っていった。そして着いたときには日も暮れはじめてて。。赤く染まった空は観覧車からみた景色とは、また違った様子を見せていた。
「もう少し早く遊園地でればよかったかな…これはこれできれいなんだけどさ。」
息の上がった二人は少し疲れて、その場に座った
「これもきれいだし、ちょっと疲れたからもう少しゆっくりしていこっか。」
ここまで来て、今日一日を振り返っていた…。
もう少し早く起きておけばよかったとか、遊園地のあの遊具は楽しかったとか。
そんなことを話している間にどんどん周りは暗くなってきて、町はきれいな夜景に変わっていた。暗くなった今…お互いの顔は、次第にぼけて見えてきた。
「ねぇ…優樹、今日はありがとう。実はね、昨日私から今日誘おうか迷ってて…優樹から来て少し嬉しかった…。あと…ね」
周りがまた一層と暗さを増す。綾乃の…顔ががはっきり見えないくらい。
「あの…ね。私さ、明日から軍に行くことになったんだ。だから、これが最後かも」
鼻をすする音が時折聞こえる
「だからさ…言っておきたかったんだ…」
長い沈黙、俺はいきなりのことで何がなんだか分からない、なんで…まだ学生なのに?しかも、普通そういうのは男子から優先的に集められるんじゃないのか?頭がパニックになる。
「優樹のこと、好きだったって。」
俺のパニックに止めを刺した。もう何がなんだか分からない。
「ごめん…帰るね」
わけの分からぬまま…硬直状態の俺は、止めることも、一緒に行くこともできなかった。
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