二章 出発

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二章 出発

何だよいったい…夢なら早く醒めろよ。何で綾乃が?何で俺じゃないんだ?あぁ…もう!何にも考えられない。それに止めの一撃。あんなのなんて言えばよかったんだよ。あそこで俺も…なんて言ったら逆に落ち込むだろ。 たった今起きた現状に頭がついていかない。聞きたかった言葉と決して聞きたくなかった言葉が綾乃の口から発せられた。たったそれだけの理由で。 「綾乃…」 気が付けばあいつの名前を呼んでいて、その瞳からは大粒の滴があふれ出ていた。 どのくらいここにいたのだろう。時計の針は八を指して俺に時の流れを教えていた。もうただ泣くのはやめた、泣いたからといって綾乃の軍隊行きは免れることじゃない。それなら今、俺にできることをするだけだ。 ――――――――――― To:大倉綾乃 Sub:明日 ――――――――――― 今…用意してるのか?少し暇ができたら返信くれ。 明日何時くらいに家を出るんだ?見送りにだけでも行かせてくれないか? ――――――――――― 今できる最大限のこと、会いに行くのはつらくて、顔も見れなくて何も話せないと思う。だから…ただ俺は…いつ返ってくるか分からないメールを待って、文だけでも思いを伝えたいって思ったんだ…
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