藤堂 紅の恋愛正確ーー第1話ーー

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17歳にしては、恐ろしく花のない生活を送ってきたと思う。 恋愛。れんあい。レンアイ。RENNAI。どれもピンと来ない。 興味がないのだから恋愛に発展する可能性もありはしないので、当たり前の結果だが、男としては悲しいものがある。 僕の初恋……と呼べるかどうかわからないが、始めて気になった子ができたときは小学校一年生のときだった。入学して最初の日。始めて隣に座った子が、僕の初恋の相手だ。 肌の白い子だったと記憶している。日本人ではないような肌の白さだった。光りを反射させて光っているような子だった。もちろん、その子の名前もちゃんと覚えている。 でも、だからと言ってなにかが始まっていたわけでもなく、そのことは席が離れればそれまでになってしまった。携帯なんてなかったから、連絡も取れない。学校で会って話すだけだった。それが僕の初恋であり、これまでの人生のなかでした最も恋愛らしい恋愛の一つだった。 けれど、その子でさえ、名前と性別さえ知れてしまえばそれ以上のことを知ろうなんて思わなかった。 初恋を誤解していたのだろうか。ただ、初めての学校で隣になった女子だから特別な思い出の一つとして名前をつけて保存しているにすぎないのだろうか。 今の感情は、小学生のころに比べて複雑で、より深刻だ。 ……なんだか、小学生と今を比較しているのが寂しくなってくる。自分で言ってて恥ずかしくなるほど、色のない人生だ。
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