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「藤堂 紅はやめておけ、か」
廊下でごちる。あの悠斗がああいうのだから、本当にキツイ子なのだろう。綺麗な人だったから当然チェックをいれていたはずだ。悠斗のことだから、あわよくばお近づきにといろいろ試行錯誤していたはずである。
それが、警告。「やめておけ」と明らかな拒絶。二人の間になにかあったのか、それともなかったのか気にならないが、悠斗の発言には多いに興味がそそられる。
気になって。
気になって。
気になっている。
この興味云々が恋というものなのか、僕は経験がなくてわからない。まだその子のことで悶々としていないから恋ではないのか、それともこんなに気になった子はいなかったのだから恋してると言っていいのか。
悠斗なら後者を選ぶだろう。というか、男は年中恋してると信じているやつだ。前者を選ぶことはありえない。
「恋かあ。恋ねえ」
男嫌いで有名な藤堂 紅。
そんな風には、見えなかったんだけどな。
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