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夏の始まり
山の上にある学校に
入学した1年の春。
スポーツなんて興味もなくて
教室で担任が部活への入部を
推してくる。
ふらふらといくつもの部活を
眺めていた放課後。
周りのクラスメイトは、
次々に所属を決めて行く。
おいてきぼりになるのが
怖かったわけでもなくて。
担任の執拗な呼び出しに
うんざりしていたあの頃。
「お前、うちのマネージャーしろよ。」
そういい出したのは
隣の席に座っている、川口真也。
入学式には
出席番号順に並べられていた机。
彼のことを知っていたわけでもない。
向こうも私のことなんて
知らないのは分かっている。
偶然、隣の席になっただけ。
そんなことも頭になく
飛び込んだ野球部の部室。
まだ、春なのに
日に焼けて小麦色していた
笑顔が似合うマネージャーさん。
みんなは、まりりんと呼んでいた。
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