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1、……。
さっきから、聞こえないフリ、気にしないフリしてたけど…
「ムカつく!!」
私は、そう言って立ち上がると、その声の持ち主の前に立ちはだかった。
「何だよ、詩音ちゃん。だってさ、本当のことだろ?」
彼のその言葉に私は再びカチンときた。
「うるさいなぁー!わかってるけど、そんな風に言われると、ムカツクのー!!」
私は、大声を出し、思いっきり奴をにらみつけると、チョコレート色のドアをバタンっと開けて外に出た。
あーぁ、またケンカしちゃった。
帰り道(といっても、たったの三歩)の途中、立ち止まりながらふと、そんなことを思った。
今のは、私の幼なじみの俊(シュン)ちゃん。
小さい頃から、ずっと一緒で、お互いの家をいつも行き来している。
そして、今日は私からシュンちゃんの家に遊びに行った。
…で、何が原因だか、もう忘れたけど、
ケンカになったのだ。
私たちは、本当によくケンカをする。
気付くと、ケンカばかりしている。
そして、いつのまにか、仲直りしている。
それは…たぶん、彼が『アレ』を持って来るからだろう。
『アレ』と、いうのは…。
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