9人が本棚に入れています
本棚に追加
「先輩。心が死ぬことってないですか?」
「心…?」
「はい、愛も幸せも感じられないんです。そのくせ、周りのキラキラとした幸せは妬ましい。私だってそれを手に入れる権利があったんだって…矛盾してるんですよね。」
「ユイ…?」
「ちょっとし戯れ言です。
女の子がねーいたんですよ。世界で一番自分が幸せなんだって勘違いしてる馬鹿な子。
その子、自分は誰よりも自分が幸せで未来永劫続くって何の根拠もなく信じてたんですよ。大好きな彼がいて何よりも自慢で…。彼と必ず結婚して誰よりも幸せになるって思ってたんです。
だけど…。」
「だけど…?」
「相手の心が離れてくのは、分からなかった。何でって馬鹿だから。
まどろっこしくてクドイ女に彼は飽き飽きして他の女のとこに行ってたのに、それすら気づかないで自分の幸せを信じきっていた。
“結婚する”ってただの口約束をただただ信じていた。
ある日突然……別れを切り出されるまでは。
それからは世界が真っ逆さまにひっくり返りました。
目につくもの全部が憎たらしくて恨んで。
元に戻るのに長い時間がかかりました。」
「ユイ…あんた…。」
「何が悪かったのでしょう。ううん、全部自分が悪いんです。それに気づくために全部を否定してからでした。
自分を憎んで…世界を憎んで…愛を恨んで。
いらないと拒否しても、それでも欲しがる心。
心が壊れても、まだ求めてしまう卑しい自分。」
「もういい……やめな…。」
「もう二度といらないと拒否した愛を求めて、一体何がしたいんでしょうか!?
もう愛を享受する権利なんてないのに、滑稽でしょ。
誰を好きになる権利も愛される権利もないのに!」
「ユイ…もういい…。」
「バッカみたいですよね!?だって二度とないものをまた求めて!バカな女……。バッカみたい、バッカみたい、バッカみたいっ…!」
「もういいっ!もういいから…ッ!」
最初のコメントを投稿しよう!