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「なぁ、愛良」
「んー?なーにー?」
買ってきた袋の中身をゴソゴソと出しながら返事をする愛良。
「リーンの名前って、愛良が考えたのか?」
「そだよー?」
「……本当にお前か?」
ネーミングセンスが限りなくゼロに近い愛良が、『リーン』なんて真面な名前を思いついたのか?
シリウスでさえ、最初は『プリン』と名付けようとしたのに?
『シリウス』というのも、適当に覚えていた星の名前だと言っていたのに?
……と考えていたら、愛良が手を止めてこちらに顔を向けた。
「最初はね、『プリン』ちゃんって名前にしたかったの。可愛いでしょ?」
やっぱりか。
やっぱりお前の一番最初に出てくる名前は『プリン』なんだな!?
どこまでプリンが大好きなんだ!?
「そしたらね、しぃちゃんから大反対されたんだよねー」
「シリウスが?」
「そー。最初にリーンのこと、『プリンちゃん』って呼んだら怒って怒って……。
しょうがないから、『プリン』から『プ』の字をなくして『リンちゃん』にしようと思ったの。
でも、やっぱり女の子っぽ過ぎるって怒られたんだよねー。
それで、しょうがないから真ん中を伸ばして『リーン』にした方が、まだ男の子っぽくなるかなって考えて、ようやくしぃちゃんが妥協してくれたの」
『リーン』でも妥協だったんだな。
いや、それよりも。
シリウス、よくやった。
普段は生意気な危犬だが、本気でよくやった。
これから名付けるような時があったら、絶対に俺が考えよう。
※作者の本当の名前も、兄が好きだったお店の名前という悲しい現実があったり……(泣)
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