落とし穴

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ただ今カインと二人で依頼中。 ちなみに、コス王としぃちゃんはお留守番。 しぃちゃんぐっすりお昼寝してたし起こすの可哀相だったんだもん。 コス王? 死神くんが、 『陛下ぁああ!!仕事してくださいぃいいい!!』 って泣きながらお願いしに来てたから、同情したカインがグレイプニールで縛り上げて引き渡してたよ。 今日の依頼は走竜っていう、地面をめちゃくちゃ早く走るドラゴンの鱗を手に入れること。 足が速すぎてなかなか捕まえられないから、依頼ランクも高いんだって。 何かのお薬の材料みたいだよ。 にしても、本当に足早いなぁ。 私たちはしぃちゃんのお散歩で慣れてるから、普通に追いつけるけど。 とりあえずは、足を止めてもらうのが一番だよね。 てなわけで。 「おっとしーあなー!」 別に詠唱でもなんでもないです。 単純に言いたかっただけなんです。 「……なあ。愛良って、何ですぐに落とし穴を使うんだ?」 綺麗に落とし穴に落ちた走竜たちを見下ろしながら、カインが呆れ気味に聞いてきた。 何でって……。 「自分が落とされてショックだったから、それをみんなで共有したくて?」 「いや、どんな理由だよ」 速攻でツッコミいれてきたカイン。 どんな理由って、言われてもなぁ。 本音としか言いようがないんだけど。 飽きれているカインは放っておいて、私たちから逃げていた走竜の所に降りる。 滅茶苦茶ビクビクしている走竜の鱗をちょっともらって依頼完了。 勝てないのを本能で分かっているのはいいけど、鱗をちょっと頂戴って言っただけで全員逃げるってどういうことよ。 無駄に疲れたじゃん。 「はい、ありがと。もう帰っていいよ」 穴に落ちた時に負った怪我を治して落とし穴から出したら、みんな一斉に帰っちゃったよ。 そんなに私怖い? 知性あるドラゴンにビビられるって、何気にショックなんだけど。
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