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「落とされたショックって、お前が落とされたのか?」
何気に君もしつこいね、カイン。
しょうがない、教えてあげるか。
まあ、言っちゃえば簡単な話なんだけど。
「私がまだ6歳の頃にね、落とされて埋められたんだよね、お兄ちゃんズに」
「え……話に聞いている限り、お前のこと溺愛しているんだろ?それなのにか?」
「それだからこそ、ですね。愛情の裏返しだとかどうとか言ってたけど」
ホント、意味わかんない理由ですよねー。
「まぁ、腰ぐらいまでの深さだったんだけどさ。ズボッって落とされた後にお兄ちゃんズが爆笑しながら埋めていったの。めちゃくちゃ土を固めながらさ」
あれはびっくりしたなー。
だって、まだ6歳だったもん。
「で、落とされたショックで思考が停止していてさ。正気に戻った時には、完全に腰から下は回り固められて出れない状態だったんだよね。んで、爆笑してたお兄ちゃんズはいつの間にか消えてるし、パニックった私は必死で出ようと頑張ったの」
あれは恐怖だね。
さっきまでいたお兄ちゃんズがいなくなって、お庭で一人体半分埋められれ身動きできないってのは。
「……それで、出れたのか?」
「……。腰がね、なかなか土から出れなくてね。頑張って頑張って出ようとしていたらね?
………腰がね、ゴキッって音がしたの」
ほんと、見事にゴキッって音だった。
「それって……」
口元を引きつらせるカイン。
うん、君の予想通りだよ。
「……ギックリ腰になりました、6歳児で」
「…………」
「もう痛くて私大泣きなのに、隠れて見ていたお兄ちゃんズは呼吸困難になるほど大爆笑だよ」
あの時は、初めてお兄ちゃんたちに殺意が湧いたなー。
「……」
カイン、君も笑いたいんだね?
口元がピクピク痙攣しているよ?
「まぁ、私の泣き声で飛んできたお父さんが助けてくれたけどね。
お母さんには病院で爆笑されたけど。
お医者さんも看護師さんも口元がピクピク痙攣していたけど。
うん、あの時の私の味方ってお父さんだけだったなー……今は単なる変態さんに成り下がってるけど」
昔は頼れるお父さんだったのに、年々変態度がレベルアップしていったよ。
すごく残念だわ。
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