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「……それなら、落とし穴は嫌いにならないか?」
笑いを隠しているのか、掌で口元を覆ってるカイン。
バレバレだから。
「嫌いだよ?嫌いだからこそ、私のショックをみんなに共有したいんだよ。落とし穴に落とすのは最近好きになってきたけど。腰回りを埋めるなんてことをしない辺り、遠慮してるんだよ?」
「いや、首まで埋めてたりしたよな?」
「下手に腰までだったら、私みたいに若いのにギックリ腰になっちゃうかもしれないんだよ?だったらいっそ、首まで埋めてた方が安全じゃない?」
しかも私の場合は、たぶんお父さんが治してくれたからお医者さんもびっくりな速さで治ったけど、この世界の治癒魔法でもすぐ完治ってわけにはいかないでしょ?
働き盛りのオジサマたちがギックリ腰にならないように配慮しているんだから。
「……お前の理屈は理解できない」
私の言葉に、笑いも引っ込んだ様子だね。
「大丈夫。もともと理解されたいとも思ってないから。そんなわけだから、これからも落とし穴はどんどん使うよ」
「……何の宣言だ」
「これからも私のショックをみんなも共有してね、という横暴かつ理不尽な宣言」
「いや最低だろ、それ」
知ってるし。
「気にしないの。帰るよ!」
※ちなみに、6歳で兄ズに落とされ埋められギックリ腰になったのは作者の実話です……(^_^;)
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