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「……いったい何をされそうになったのさ?」
呆れ交じりに横になっているカインの熱を測るお嬢。
あの鬼畜長男がこの国の皇太子をしていて、さらに俺様が知らないところでカインが弄られたらしい。
そりゃ、あいつに会ったら苦痛で熱も出るって。
「んー……熱、下がんないなぁ……。カイン、何か食べたいものある?」
「いらない……」
ダルそうに答えるカインに、お嬢はため息をついた。
「はいはい。いらなくても食べなきゃダメだからねー。何か適当に作ってくるから、ゆっくり休んでるんだよ。しぃちゃん、カインが起きないように見ててねー。病人だから、苛めちゃだめだよ?」
「わーう」
しょーがないなって感じで頷いて、カインの枕元で丸くなったお犬様。
お嬢の言うことは、本当によく聞きますよね。
お嬢がご飯を作りに行って、カインはダウンしていて、お犬様はカインの横で寝ている。
ちなみに俺様はそれを棚の上にコウモリ姿で乗っかって眺めています。
というか、隠れています。
だって、帰ってきたらお犬様がさらにパワーアップしているんですもん。
なんでも鬼畜長男の足を喰ったらしい。
あの長男が簡単に喰わせたとも思えないけど、今までのお犬様の強さが100だとしたら、それが300に跳ねあがった感じですよ?
昨日の夜から遊んでオーラ全開のお犬様に追い掛け回された身としては、隠れるのが当然でしょ。
もうさっきから物音立てずにじっと風景の一部になっている。
……ん?
……カインの奴、熱で朦朧としているのか?
あのカインが。
よくお犬様と睨み合ってるカインが、お犬様をぼーっとした表情のまま撫でている。
お犬様はお嬢の言いつけを守っているのか、不満げに尻尾をベッドにパタンパタンと打ち付けながらもじっとしている。
すげー不思議な光景だ。
写真撮りたい。
いや、撮ったらお犬様にバレるからやらないけど。
熱が下がった時にカインに見せたら楽しいだろうなぁ……。
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