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次の日の朝、アリシアはロゼッタに起こされる前に目が覚めた。朝食の時間にも学習塾の時間にもほど遠く、手持ちぶさたでベットの上でじっとしていた。
「そうだ。この時間ならキリクは起きてるから、話し相手になってもらおうっと。」
アリシアは思い付くが早く、淡いピンクのカーディガンを羽織って部屋を出る。廊下に警備についている兵は数えるほどしかおらず、特におとがめもなく隣のキリクの部屋の前に着いた。
「キリク、起きてる?」
アリシアは扉越しに返事が来るのを待っていたが、部屋の主はいないようで首を傾げた。
「散歩かな?部屋の中で待ってよう。」
そっとアリシアは扉の片方を引いて中に入る。部屋はとても質素で木彫りのテーブルと椅子に白いシーツが被さってある大きなベットしかない。それはキリクの性格からだった。
「あれ?お手紙が置いてある。」
窓からの光が差しこむテーブルの上には、ぽつんと置き忘れたように白い手紙が置いてあった。それに近づいてみると、アリシアは驚いたように呟いた。
「…わたし宛…?」
手紙の右隅には宛名に「アリシア様」と書かれてあった。アリシアはそっと手にとって封を開ける。中から便箋が一枚折り畳まれていたものを広げて目を通す。
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