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その頃、宮殿の方ではエアルト国王と王妃が一通の手紙を手渡されていた。
「なっ……スウィレラ国からの手紙だと!?」
「あれから13年もなるのに一体どういう理由で…!?」
アリシアとキリクの母親、オリヴィアが亡くなってから13年。音沙汰が全く無かったスウィレラ国の王からエアルト国の王に宛てた手紙が届いた。手紙の封を開けて静かに読んでいた国王の顔はだんだんと青ざめていき、読み終わると崩れるように玉座に寄りかかった。
「国王!その手紙にはなんと書かれていたのですか?」
王妃は国王の手を握りそっと声をかけた。国王は唸るように言葉を紡いだ。
「子供を養子に迎え入れると…書いておった…。」
「養子に!?まさか、そんな!スウィレラ国の王は落ちぶれたと聞いてはおりましたが…。」
「うむ…教育の良い養子にでも国を納めるようにして、自分は関白のつもりで操ろうとしたいのだろう…。手紙には調教師を数人送るともあった。」
この要求を撤廃すれば、当然あちら側から攻撃を仕掛けてくるのは見えていた。それに、この小さな国では大勢の軍備を整えられない。 国王も王妃も険しい表情で黙り込んだ。
「叔母上!さっき、メイドから小さなお花を貰ったの!」
そこへ、嬉しそうに走ってくるアリシアが入ってきた。後ろからキリクもついて入った。
「叔母上、見て―……叔母上?どうされたの?」
一本の明るい赤色の花を見せようと王妃の顔を見ると、アリシアは表情を一気に曇らせた。キリクも困ったように国王を見る。
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