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「叔父上、どうかされたのですか?具合が悪い様に見えます。」
「大丈夫だ…心配はいらない。」
「叔父上、そのお手紙は何?」
「それは……。」
言葉に詰まる国王と王妃に対し、アリシアは大きな目を輝かせる。賢いキリクは国王の手から手紙を取り、じっと文に目を通す。
「叔父上これは…!?つまり、私かアリシアのどちらかがスウィレラに統治しに行かなければならないという事ですか!?」
キリクはばっと国王の顔を仰いだ。その表情からは、年相応の恐怖と驚きが見られた。
「キリク…?それ、本当なの?」
アリシアはふっと表情を曇らせる。それを見て国王は必死に首を横に振る。
「そんな…そんな事私がさせたくない!いや、絶対にさせない!」
「おや、それは私の申し出を受けないという事ですかな?」
急に冷ややかな声がした。訪問者は宮殿の入り口に立っていた。エアルト国王は男をぎらりと睨み付ける。
「…急な訪問ですね。スウィレラ国王。」
スウィレラ国王は黄金色に輝く衣の裾を払い、宮殿の奥に入って来る。やつれている顔に人を見下すような笑みが浮かぶ。くすんだ金髪と黄金色の瞳は当時と変わらずだった。
「エアルト国王、直々に謁見に参らせて頂きましたよ。もちろん、調教師も連れて来ました。」
スウィレラ国王の後からぞろぞろとスウィレラ国の調教師が付いて歩く。その様子が恐ろしくなったアリシアはキリクのもとに駆け寄り手を繋いだ。キリクはスウィレラ国王を睨み、繋いだ手を握る。
「スウィレラ国王!今さら、父親面で来ないで頂きたい!この二人とあなたは無関係だ!!」
エアルト国王は怒りに事を任せるようにして叫んだ。王妃はそっとアリシアとキリクを包み込むように抱く。その顔からは恐れが垣間見えた。
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