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「…そのまま帰られては困ります。」
キリクは真っ向からスウィレラ国王を睨むように見つめた。ついとスウィレラ国王は振り返る。
「…あなたの申し出を受けます。」
キリクに続いて、アリシアも口を開く。
「エアルト国には手を出させない。
」
「…ふっ、それは良かった。では、調教師はお二人のお部屋に待機させてもらいます。」
クスリと可笑しそうにスウィレラ国王は笑って、今度こそ宮殿を出ていった。
「キリク…アリシア…。お前たち、大丈夫なのか?」
エアルト国王はおそるおそるキリクに尋ねる。キリクとアリシアは国王を振り返り、真剣な目で自分の叔父を見上げる。
「わたしはこの国が大好きなの。叔母上も叔父上も、この城に仕えてる人たちも城下の人たちも全部。」
「エアルト国を守る。それが、母上の願いだったのです。それを私が叶えてみせます。」
二人は豊かな笑顔でそう宣言した。国王と王妃はただただ、彼女と彼の笑顔に涙ぐむばかりだった。
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