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次の日から、ノースは行動に出た。
まず、マリアが住み込みで働ける場所を探した。
ノースがいなくなったと知ったら、すぐにでもマリアは売られてしまう。家には残して行けない。
ノースがマリアの為に見付けた仕事は娼館での雑用仕事だった。
幼いマリアに娼館は酷かもしれないが、ノースや母の代わりに家事をしていたマリアは、雑用仕事には慣れていて向いている。売られないように必死に働いていたノースが、マリアを娼館に預けるなんてきっと借金取りも思わない。
それに、もし志半ばで死んでしまい金が手に入らなくても、娼館ならマリアは飢え死にする事はない。売られたわけではないマリアは、娼館を出て行くのか、娼館で本格的に働くのかを自分の意志で選ぶ事が出来る。
マリアが大人になるまであと十年はあるから、娼館を出て行く頃には顔もある程度変わって借金取りに見付かる心配はないだろう。
娼館はマリアにとって理想的な仕事場だった。
マリアをすぐに娼館に連れて行き、その日のうちにノースは全ての仕事を辞めた。借金取りが気付く前に、街を出る必要があったからだ。
夜までにやらなければならない事を終わらせ、ノースは日が暮れると同時に街を出た。
誰にも気付かれる事
なく、ノースは夜の闇に消えた。
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