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「また魔王様を殺しに来た人間ですかね?」
ノースに近寄り身体をかがめ、銀髪の男はノースの顔を覗き込む。
「魔王様を探す為に城の者は出払っていましたから、城には誰もいなかったはずです。入って来てここで力尽きたのでしょうか?」
ノースの腕を取り、銀髪の男は脈を確認する。
「もうダメそうです。死んだらいつも通り、人間の城に送り返すので宜しいですか?」
魔王もノースに近付き、立ったままノースを見る。
「まだ息はあるんだよな」
「そうですが、って何をする気ですか?」
ノースの頭の横に膝を付くと、魔王はノースの頭に手をかざして目を閉じた。
「聞こえるか?」
「魔王様?」
銀髪の男の問いかけを無視して魔王は続ける。
「聞こえるのなら答えよ」
ノースにとってこの問いかけは天使の救いとなるのか。
「お前の願い」
悪魔の誘惑となるのか。
「何と引き換えにしてでも」
それは誰にも分からない。
「叶えたいか?」
魔王はにたりと笑った。
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