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「サンドイッチたくさん作ったんだな。もしかして他の人の分もあるのか?」
ノースが聞くとマリアは頷いた。
「じゃあ、皆を呼んでくるな」
手を振って、ノースは散らばった他の男達を集める。
「休憩にしよう!」
ノースの呼びかけに気付いた男達が、こちらに集まり始めた。
「俺はそろそろ帰るわ」
魔王はマリアの頭に手を置き、目線を合わせる。
「あとで迎えにくるな」
それだけ言って、魔王は来た時と同じように光になって飛んでいった。
ノースはしばらくその光の先を見ていたが、集まってきた男達の声に振り返る。
「マリアがサンドイッチを作ってきてくれたんだ。皆でお昼にしよう」
マリアが男達にサンドイッチを配る。男達は笑ってマリアに礼を言い、受け取ったサンドイッチを布の上に座り食べ始めた。
美味しい美味しいと食べる男達の姿に、マリアは少し満足気だ。
サンドイッチを配り終わると、マリアは自分の分を持ってノースのそばに来た。マリアがノースの袖を引っ張る。
座ろうと促されたのに気付き、ノースはマリアと一緒に座った。
ノースの隣で、サンドイッチを頬張り始めるマリアを見て、ノースは微笑ましい気持ちになった。
魔王領に暮らしを移してから、マリアの表情は少しだけ和らいだような気がする。きっと何かに追われる事もなく、安心して暮らせるのが大きく影響しているのだろう。
悔しいが、その事に関しては魔王に感謝しなくてはならない。
魔王はマリアを幸せにするチャンスをくれたのだ。
マリアの満面の笑みが見られる日は近いかもしれない。
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