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「……っ、上!!」
「ああ。しっかり掴まっていてくれ」
直後、巨大な瓦礫が雨霰とばかりに頭上に現れた。投げたのはあのボス猿か。
「馬鹿の一つ覚えだな!!」
だから石ころを投げるだけなら、その辺のガキにも出来ること。そんな児戯が通じると思われたのなら、俺も嘗められたものだ。
シルフィアを抱えたまま走り出す。
避けられるものは避け、当たりそうなものは大剣の一薙で吹き飛ばす。
ーーたった一欠片でも、シルフィアに当てさせて堪るものか。
調子に乗った糞猿には、厳しい仕置きをしてやらねばなるまい。
攻撃を凌ぎつつ道を駆け抜け、漸く開けた場所に出た。地下壕らしきものの入口も確認したが、そこには兵士達が折り重なって倒れている。
そしてその前に、小山のようなデカブツが鼻息を荒くして待っていた。
「待たせたな」
「жζчшшшшшш……!」
「全く……何でこう、魔物の息ってのは臭いんだよ。鼻がおかしくなったらどうしてくれんだ。
……シルフィア」
「っ、なに?」
魔物に毒づきつつ、やはり怖いのか身を硬くしていたシルフィアに言う。
「あの中の何人かは生きてる。止血さえしてやれば、何とかなるかも知れない」
「本当?!」
「ああ。出来るだけ早く治療を受けられれば救える命も有る筈だ。
俺がアイツを引き離すから、その隙に」
「……うん、分かった。
貴方も、死なないでね……?」
「はは、心配してくれるんだ」
「当たり前だよ。あんなバケモノと戦うんだから……」
不安げなシルフィアに微笑みを返し、ゆっくりと地面に下ろす。
俺の役目は魔物を殺すことーーそれならいつもやっていることだ。
10年もほぼ毎日続けて来て、今更怖じ気付く訳も無い。
確固たる自信と殺意の元に大剣を握り締め、俺は半ば無意識に、恥ずかしくも懐かしい言葉を口にした。
「大丈夫だよ。
ーー『シルフィアは俺が護る』から」
「え……?」
“初対面”の人間にこんな事を言われたら、引いて当たり前か。
胸を衝く寂しさは苦笑と共に心の奥に押しやり、俺は一歩前に出て剣を構えた。
「……さて、掛かって来いよ糞猿。
好き勝手してくれた落とし前を付けてやる!」
「ы……τчжδοοοο!!」

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