一章

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「……っ、上!!」 「ああ。しっかり掴まっていてくれ」 直後、巨大な瓦礫が雨霰とばかりに頭上に現れた。投げたのはあのボス猿か。 「馬鹿の一つ覚えだな!!」 だから石ころを投げるだけなら、その辺のガキにも出来ること。そんな児戯が通じると思われたのなら、俺も嘗められたものだ。 シルフィアを抱えたまま走り出す。 避けられるものは避け、当たりそうなものは大剣の一薙で吹き飛ばす。 ーーたった一欠片でも、シルフィアに当てさせて堪るものか。 調子に乗った糞猿には、厳しい仕置きをしてやらねばなるまい。 攻撃を凌ぎつつ道を駆け抜け、漸く開けた場所に出た。地下壕らしきものの入口も確認したが、そこには兵士達が折り重なって倒れている。 そしてその前に、小山のようなデカブツが鼻息を荒くして待っていた。 「待たせたな」 「жζчшшшшшш……!」 「全く……何でこう、魔物の息ってのは臭いんだよ。鼻がおかしくなったらどうしてくれんだ。 ……シルフィア」 「っ、なに?」 魔物に毒づきつつ、やはり怖いのか身を硬くしていたシルフィアに言う。 「あの中の何人かは生きてる。止血さえしてやれば、何とかなるかも知れない」 「本当?!」 「ああ。出来るだけ早く治療を受けられれば救える命も有る筈だ。 俺がアイツを引き離すから、その隙に」 「……うん、分かった。 貴方も、死なないでね……?」 「はは、心配してくれるんだ」 「当たり前だよ。あんなバケモノと戦うんだから……」 不安げなシルフィアに微笑みを返し、ゆっくりと地面に下ろす。 俺の役目は魔物を殺すことーーそれならいつもやっていることだ。 10年もほぼ毎日続けて来て、今更怖じ気付く訳も無い。 確固たる自信と殺意の元に大剣を握り締め、俺は半ば無意識に、恥ずかしくも懐かしい言葉を口にした。 「大丈夫だよ。 ーー『シルフィアは俺が護る』から」 「え……?」 “初対面”の人間にこんな事を言われたら、引いて当たり前か。 胸を衝く寂しさは苦笑と共に心の奥に押しやり、俺は一歩前に出て剣を構えた。 「……さて、掛かって来いよ糞猿。 好き勝手してくれた落とし前を付けてやる!」 「ы……τчжδοοοο!!」

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