ずれた歯車

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同じ路線ではあるけど、私の家の駅より3つ手前の駅で降りて朔也の家に向かう。 駅から歩いて10分くらいの閑静な住宅街を朔也と手を繋いで歩いていた時 「そこの家が一輝の家なんだよ」 朔也が指差したのは白い壁の2階建ての一軒家。 「そ…そうなんだ…朔也の家からも近いの?」 「うん、俺の家はここから5軒先の家」 なるほど幼稚園から一緒ってのも解るほど近所だ。 そう思いつつ向井くんの家の前を通過しようとした時、 家のガレージに座り込んでバイクをいじってる向井くんと目が合った。 「よぉ一輝、メンテナンスやってんな?」 「ああ、朔也か…今日も勝ったのか?」 「まぁな。 これから美月乗せて走って来るよ」 「そうか…気をつけてな」 少し顔を引きつらせて笑う向井くんに胸が痛んで私は視線を逸らしてしまった。 「インターハイ終わったらツーリング行こうぜ」 「そうだな。また企画しといてくれよ」 「了解!じゃあな!」 再び歩き出した朔也に手を引かれながら、私は一応向井くんにペコンと頭を下げた。 やっぱり悲しそうに微笑んでる向井くんにギュッと胸を締め付けられたけど… 私は朔也が好きだし、美紀は向井くんが好き…。 決して私と向井くんの思いが繋がるなんて事はあり得ないんだし…。 これでいいんだ…。 そう思いながら私は朔也の手をぎゅっと握りしめた。
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