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「話って…何ですか?」
じっと向井くんを見つめて問いかけた私に、ふはって笑う向井くん。
「やっぱ藍田さん、俺を警戒してるよね。
心配しないで、もういきなりキスしたりなんかしないから」
「…………」
思わず言葉を失って顔を赤くしてしまった私にやっぱり向井くんはクスクスと笑う。
「藍田さんはさ…朔也の事、本当に好きなの?」
「えっ?なんで?」
「うん…一応朔也の親友…として?」
ニコっと微笑んだ向井くんの目をしっかりと見つめて私は答えた。
「…好きだよ。
朔也はすごく優しいし、私を大切にしてくれるから」
「そっか…
もう朔也とキスした?」
とんでもない質問をしてくる向井くんにムッとする。
「そんな事は向井くんには関係ないんじゃないの?」
「ふはっ…藍田さんって可愛い顔してるのに強気なんだね」
「話したい事ってそれだけ?
だったら私、帰りますけど」
なんだかバカにされてる気分で不愉快だった。
「ごめん、帰るなんて言わないで。
本当はね、今日これでも俺、落ち込んでるの。
まだ一人になりたくはないからさ…」
なんだか悲しそうに揺れた向井くんの瞳に、今日のインターハイの時の呆然と立ち尽くしてた向井くんの姿を思い出した。
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