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翌日の2回戦も朔也はゴールを2つも決めて、3回戦進出を決めた。
朔也と出会うまでサッカーはあまり興味がなかったのに、すっかり私もサッカーが好きになっている。
よくよく調べてみたら、朔也の高梨高校のサッカー部は、毎年ベスト4には残ってるみたいで、去年は準優勝なんて成績を残していた。
「美月、今日はもう練習ないから一緒に帰ろう」
試合とミーティングを終えて、スポーツバックを肩に担いだ朔也がスタンド席まで迎えに来てくれた。
自然に差し出された朔也の手を握って会場を出る。
「今日は美紀ちゃん来なかったんだね」
「うん…一応誘ったんだけど…
向井くんからの連絡待ってるから今日は出かける気分じゃないって」
「そっか…
一輝、結構落ち込んでたからなぁ…」
「…そ…そうなんだ…」
昨日の向井くんとの公園での出来事が頭の中に蘇ってやっぱり動揺してしまう。
「それよりさ、美月
約束のご褒美はいつくれるの?」
私の顔を覗き込んで聞いて来る朔也に、一気に私の顔は赤く変化する。
「…い…いつって…
…朔也が都合のいい時なら…
いつでもど…どーぞ…」
「あはは!美月、顔が真っ赤だよ」
大笑いする朔也の手をきゅっとつねってやる。
「もう…朔也は意地悪だー…」
「あはは!ごめんごめん。
でも美月のそういうトコ、俺は大好きなんだけど。
じゃあさ…
ご褒美は俺にとっても、美月にとってもすごく大切な事だと思うし、美月を連れて行きたい場所があるから
とりあえず一度俺の家まで一緒に来てくれる?
実はね、俺、バイク持ってるんだ」
「えっ?そうなの?」
「うん、サッカーも好きだけどホントはバイクいじってるのが一番好き。
あっ、ちなみに一輝もバイク好きの仲間なんだよ」
朔也の口から向井くんの名前が出るたびに私の心がチクチクと痛むのは気のせいだろうか?
そう思いつつも私は朔也に微笑んだ。
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