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その時、ポツリポツリと落ちて来た突然の雨。
「ヤバっ…傘持ってない…」
焦った私は、周りをぐるりと見渡した。
だけど雨宿りなんて出来そうな場所はなくて…
唯一、雨から逃れられそうなのは、グランドの脇に設置されてるサッカー部の道具入れ用のプレハブくらい。
どんどん激しくなって行く雨に、急いで立ち上がった時…
「汚いプレハブだけど、雨宿りしてったら?」
グランドから聞こえた声に私は思わず目を見開いた。
「え?私…?」
驚いて固まる私の元に、グランドから土手を駆け上がって来た彼が、私の手を掴む。
「早くしないと濡れちゃうよ?」
ニコっと笑った彼が、私の手を引いて走り出した。
それが…こんなに苦しい恋の始まりだなんて気づかずに…
私は彼と一緒に走り出していた。
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