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子供の頃の夢は…
大好きなママ、尊敬してるママと同じ看護師さんだった。
だけど…
看護師の家族だからこそ知った現場の過酷な現状。
深刻な人材不足…
それを知れば知るほど、私の夢ではなくなって行った。
夢を失った私は、自分のやりたい事が何なのか解らなくなって
この先の自分の人生をどう生きていいのか先が全く見えなくなっていた。
今後何か自分でやりたい事が見つかった時に備えて大学は行った方がいいのかもだけど…
母子家庭のウチにそこまでの余裕はない…。
奨学金も考えてみたけど…
就職した方が、ママだって助かるはず…。
私は一人で悶々と悩み続けていた。
家に帰るとママが家計簿を広げて計算機をパチパチと叩いてる。
「ただいま」
「おぉ姫、おかえり」
「ねぇママ、相談なんだけど…」
「なんだね?申してみなされ」
家計簿をパタンと閉じてテーブルに肘をつくママに私は覚悟を決めて話してみた。
「進路の事なんだけど…」
それだけ言って黙り込んだ私をじっと見つめたママがニコリと笑い出す。
「大学行きなされ」
「えっ?」
驚いてママの顔をじっと見つめた私の頭をポンポンと叩いてくれた。
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