愛しさと悲しみと

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「美月…ゴメンな…」 後半残り10分で相手チームに得点を許してしまった高梨高校。 その後も必死に攻めたけれど、ついに朔也の放ったシュートがゴールに吸い込まれる事はなかった…。 ガックリと肩を落として、スタンド席に私を迎えに来た朔也の肩をポンポンと叩いた。 「ううん、 朔也はすっごくカッコ良かったし すごい頑張ったと思う。 だから…」 朔也の耳元に口を寄せて囁く。 「ちゃんとご褒美はあげる」 その言葉に一気に顔がぱあっと明るくなった朔也に大笑いした。 「じゃ美紀ちゃん、美月をウチの親に紹介して来るからちょっと待ってて!」 「はいはい、なるべく早くねー! 待ってるだけでも暑いんだから」 すっかり上機嫌になった朔也に手を引かれて、会場の外にある駐車場へと連れて行かれた。
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