愛しさと悲しみと

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駐車場へ行くと、黒のエルグランドに、荷物を積み込むグリーンのポロシャツを着た人に朔也が声を掛ける。 「親父!連れて来たよ!」 その声に顔をこちらに向けた朔也のお父さんは、さっき会ったのが私だって気づいてなかったみたいでニコリと微笑んだ。 助手席からニコニコと笑って降りて来た朔也のお母さんは、すごく可愛らしい感じの人で 「まぁまぁ、あなたが美月ちゃんね! いつも朔也から自慢の彼女って聞いてるわよ」 そう言いながら私の手を握ってブンブンと握手した。 朔也と初めて会った時も、こんな風に握手した記憶が… 朔也はお母さん似なのかな…?なんて思いながら 「あの…初めまして… 藍田美月です…」 ペコンと頭を下げた私に、朔也のお父さんも優しく微笑んで 「いつも朔也がお世話になっています」 と丁寧に頭を下げてくれた。 「美月ちゃん、今日は朔也の残念会するんだけど良かったらウチにいらっしゃいよ」 にこやかに笑いながら誘ってくれるお母さんに、私は朔也の顔を見上げる。 「ウチの母さん、料理美味いからさ。 良かったら美月、遊びにおいでよ」 「…うん…でも美紀も待ってるし…」 そう言いかけた所で、美紀から電話が入る。 『美月ゴメン! 今、向井くんと会って、一緒に帰ろうかって声かけてもらっちゃったから… 私、向井くんと一緒に帰る!』 「…あ…そっ…そう…。 じゃあ気をつけて帰ってね」 『うんゴメン!朔也くんによろしく!』 嬉しそうに言って切られた電話を見てたら朔也がクスクス笑って 「じゃ、美月はウチにお招き決定ね!」 って微笑んだ。
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