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私の家はママが必死に働いてやっと去年の春に購入出来た小さな平屋の一戸建て。
朔也の家みたいな広いガレージはないけど、普段ママが車を止めてるスペースに朔也のバイクを止めてもらった。
「狭い家だけど…どうぞ」
この家に入るのは私とママと美紀以外では朔也が初めてだ。
「おじゃまします」
少し緊張してる朔也にクスっと笑いがこぼれた。
そのまま私の部屋へと案内する。
「ふふっ…美月の部屋はさすがに女の子って感じだな」
薄いピンクで統一した私の部屋をぐるりと見回した朔也が笑う。
「あっ、何か飲みものいれてくるね。
適当に座ってて?」
「うん」
ドキドキしながらキッチンに行って、グラスに麦茶を注ぐ。
よくよく考えたら私ってすごい大胆な行動に出てるなぁと思う。
ママが留守の間に男の子を家に入れて…
しかもこれから朔也と…
はぁぁっ!
ヤバイくらい顔が熱い!
だけど…
私は覚悟を決めて、部屋へと戻って行った。
「ねぇ美月、ひとつ聞いていい?」
私を見上げた朔也に頷きながら麦茶をテーブルに置いてから朔也の隣に座った。
「亡くなったお父さんの写真とか飾ってないの?」
…覚悟はしてたけど…
やっぱり朔也はそれに気づいてしまった。
私はひとつため息をついてから正直に話し始めた。
「さっきは言いにくくて亡くなったって言っちゃったけど…
本当はウチのママはシングルマザーでね…
私はパパの顔さえも知らないんだ…
嘘ついてゴメン…」
ペコンと頭を下げた私に朔也は驚いた顔でじっと見つめてる…。
こんな家庭で育った私でも朔也は受け入れてくれるのかな…
そんな不安を抱きながら朔也の瞳をじっと見つめた。
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