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「…そっか…
そういう事だったんだ…」
「うん…だけど…
ウチのママは必死に頑張って私を大切に育ててくれたし…
私はそんなママが大好きだから…
もしかしたら他に家庭のある人がパパなのかも知れないけど…
それでもママが私を産んでくれた事に感謝してる」
じっと朔也の瞳を見つめながら言った私を、優しく抱きしめてくれた朔也。
「そっか。
美月も辛い思いをして生きて来たんだね…
だけどな…
色々な事情があって一緒には暮らせなかっただろうけど…
美月のパパは、きっと美月の事を心から愛してると思うよ。
自分の子供を愛せない親なんていないはずだから」
何度も私の髪を撫でながら言う朔也の優しい言葉に私の目頭が熱くなる。
やっぱりあんなに温かい家庭で育った朔也は心がすごく綺麗で素敵な人だ…。
だけど…
朔也が言った『美月も』って言葉が引っかかった。
もしかしたら…
朔也は向井くんの秘密に気付いてるのかもしれない…
そう感じながらも私は朔也にしがみついた。
「美月…
これからは美月のママに負けないくらい俺は美月を必死に守るから。
絶対に美月に寂しい思いなんかさせないって約束する」
「朔也…」
「美月の中にある不安も全部俺が消してやるから…」
私の頬に優しくて温かい朔也の手が触れる。
「お前の全てを俺で埋め尽くしてやる」
ゆっくりと触れた唇から朔也の熱が伝わって、私の心に浸透して行く。
…朔也…
…朔也…
心で何度も呼びかける。
「…美月…愛してる…」
そのたび答えてくれる優しい声に私の心は満たされて行った。
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