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翌日の3回戦も朔也のチームは1-0で勝ち進み準決勝進出が決定した。
「今日はこの後、また練習やろうってみんなが言ってるから美月も一緒に来る?」
「うん!」
試合が終わって、チームのみんなと一緒にグランドに戻るために会場を出る。
駅まで戻る道のりもやっぱり私の手を握ってくれる朔也と並んで歩く。
「おいおい朔也、すっかり美月ちゃんにベタ惚れだな」
「悪いか?」
冷やかして来るのは頼りになるゴールキーパーの篠原くん。
金色の短髪に真っ黒に日焼けした笑顔からやけに白い歯が目立つガッチリした体つきで
他の仲間の人たちからは、何故か『ケーシー』と呼ばれてる。
どうやらアメリカの有名なキーパーの名前らしいけど。
「あれっ?向井じゃね?」
駅のホームで電車を待っていた時、ケーシーこと篠原くんが反対側のホームを指差して言った。
思わずケーシーが指差した方に視線を向けると、そこには美紀と仲良く手を繋ぐ向井くんの姿。
「あれ?一輝と美紀ちゃんじゃん。
あの二人、やっぱ付き合い始めたんだ?」
朔也が私の顔を覗き込んで聞いて来た。
「あっ…たぶんそうみたいだね。
昨日向井くんから連絡来たって美紀からメール来たし」
「そっか…
美紀ちゃんすごい嬉しそうな顔してるね」
「うん」
楽しそうに微笑む美紀と、それをやんわりと微笑みながら見つめる向井くんの姿にホッとしながら私も微笑んだ。
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