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『 Dear 笙子
元気にしているか?
美月はちゃんと高校に行ってるか?
俺はもう長くなさそうだよ。
医者のくせに末期になるまで気づかなかった。
日本と違って設備もないし当然ではあるんだが…
笙子、俺が死んだら俺の財産は全てお前に相続されるように手続きは済んでいる。
美月が大学進学したいと言った時は、これを使ってやってくれ。
まぁ20年間コツコツと貯め込んだ小銭だけだから大した金額じゃないけどな。
君とカンボジアで過ごした2年間が俺の人生で一番幸せな時間だった気がする。
本当なら君と一緒に日本に戻って美月を育ててあげるべきだったのかもしれないが
最後まで俺の夢を応援してくれてありがとう。
君にはたくさんの苦労をかけてしまった。
だけど、美月を産んでくれただけでなく
こんなにも立派に育ててくれてありがとう。
美月の高校入学の写真、送ってくれて感謝してる。
この写真は天国まで大切に持って行く事にするよ。
笙子には女としての幸せをあまり与えてやれなかったかもしれないが
君は君の人生をこれからも楽しんで元気に生きてくれ。
笙子、君は俺の最高のパートナーだったよ。
I Love You Forever.
省吾 』
そして2枚目の便箋には私宛ての手紙があった。
「読んであげておくんなまし」
微笑むママに頷いて私はその便箋に目を落とした。
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