家族の肖像

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『 Dear 美月 君がこの手紙を読んでる頃にはきっとパパはもうこの世にいないかもしれないな。 君がこの世に生を受けた日、それは俺が唯一、君の父親でいれた日だった。 産まれたばかりの君は、真っ赤な顔をして小さな手を握りしめて、 まるで頑張って生れて来た事を誇りに思うようにガッツポーズをしていたよ。 パパとママの勝手な生き方に君を巻き込んでしまった事は本当に申し訳なく思っている。 だけど、君の事もママの事も一日たりとも忘れたことなどなかったんだよ。 それだけは信じてくれるかな? 何度か日本に帰れた時は、こっそり君に会いに行った事もある。 小学校3年の運動会のかけっこで転がってしまった君は、 擦りむいた膝から出血してたのに最後まで泣かずに走り切って偉かったね。 6年生の運動会の時のマーチングパレードでバトンを器用にクルクルと回す君を見た時は思わずパパは涙を零してしまってママに大笑いされたんだよ。 君に面と向かってパパだと名乗る事はついに出来なかったけれど、 どんな時も、いつでもパパは美月を愛していました。 これからの人生、色々な事を君は経験し大人になって行くけれど どんな時でも、君を愛してるパパとママがいる事をどうか忘れないで下さい。 そして君もいつか全てを受け入れて愛せる人と巡り会って幸せな人生を送って下さい。 美月、この世に生れてくれてありがとう。 I feel close to you forever... From パパ 』
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