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グランドでの練習を終わって、いつものように朔也が家まで送ってくれる。
手前のあの公園のベンチに腰かけて話していたら朔也が私をじっと見つめて言い出した。
「ねぇ美月、もしも…
全国大会行けたらさ…」
「うん?何?」
「次のご褒美くれる?」
「えっ?」
ニカっと笑った朔也が私をぎゅっと抱きしめる。
「…美月が全部欲しい」
耳元で囁かれた言葉に、私の全身が一気に熱を帯びる。
「だけどもし全国行けなかったら…
その時は、美月が俺を欲しいって思ってくれるまで待つから」
「朔也…」
「どっちにしろ、俺はずっと美月を大切にする。
美月を泣かせるような事は絶対しないって約束するよ」
…全部って事は…
つまりそういう事…だよね?
確かに私の周りの女子は結構もう経験済みって言うか、援交とかまでやっちゃってる子も多くて…
美紀もすでに経験済みだったりするし…
モジモジと戸惑う私を見つめながら朔也が髪を優しく撫でてくれる。
「俺は本当に美月が好きだよ。
どんな事があっても俺は美月を守ってく。
だから…
俺の事、信じて着いて来て?」
優しく微笑む朔也に私はドキドキしながら頷いた。
「朔也…
優勝したら…
ご…ご褒美…
…あげるから頑張って」
その言葉に少し顔を赤くした朔也に思わず私も笑いがこぼれる。
もう何もいらない…
この優しい笑顔と温かい胸があれば…
この幸せな時間が一生続くと信じていた…。
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