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準決勝の試合は、向井くんとのデートの報告を兼ねて美紀も同行してくれた。
さすがにベスト4にもなるとメディアやスカウトまでが観戦に来てて、応援団まで来てるから観覧席もいっぱい。
「朔也くんはエースだし、プロからスカウトなんかも来ちゃったりするんじゃないの?」
美紀が言った通りに、たくさんのカメラのレンズがボールを蹴り出す朔也を追ってる。
こうやって見てると、あんなすごい人が私の彼氏なんだって思ったらなんだか自慢したくなっちゃう気分だ。
「そう言えば美紀は向井くんと付き合う事になったんでしょ?」
私の質問に美紀は、うふふと笑って頷いた。
「まぁ付き合い始めても、まだ私の片想いだけどね…」
「えっ?なんで?」
「向井くんはまだ私の事だけ見てくれてない気がする」
少し寂しそうに言う美紀に、私はやっぱり胸がツキンと痛んだ。
「…でも…
付き合い始めたって事は、美紀は特別な存在って事には違いないじゃん。
絶対向井くんを惚れさせるんでしょ?」
「まぁね!美月と朔也くんみたいにラブラブになってみせるよ!」
笑って言った美紀に私も微笑んで頷いた。
試合の方は、ケーシー篠原くんの完璧な守りと、朔也のゴールが1つ決まってついに決勝進出が決まる。
あとひとつ勝ったら…
そう思うと激しく私の胸がドキドキする。
すっかり朔也のファンになった他校の女子に囲まれてる姿にちょっとイラっとしたけど…
「美月!」
取り巻きの女の子をかき分けて私の所に駆け寄ってくれる朔也に私は不安なんて感じない。
「あとひとつだぞ。
覚悟しとけよ?
俺は絶対に優勝すっから」
人懐っこい笑顔で言う朔也に私も顔を赤らめながら笑った。
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