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向井くんの衝撃的な告白に私は思考回路が停止する。
「ウチの母親はシングルマザー。
で、俺の父親はあの人。
だけどその事は、朔也も、朔也のお袋さんも知らないんだ。
だから…
朔也には絶対にこの事を言わないでくれ」
「…………」
「もしも藍田さんがこの事を誰かに言ったりしたら…
俺は、藍田さんをとことんまで傷つけるよ…」
あの時…
向井くんが朔也に向けてた鋭い視線の意味がようやく私の中で理解出来た気がした。
この人は…
たった5軒しか離れてない家で…
小さい頃からその現実と向き合いながら、朔也と親友として付き合って来た…。
本当なら憎くて仕方ないはずの朔也の存在…
だけどそれでも朔也の気持ちを優先して…
「向井くんは…朔也が大切なんだね」
ポツンと言った私の言葉に、向井くんの瞳がグラリと揺れる。
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