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「…そっか…
美月は全部知ってるんだ…」
じっと私を見つめた朔也がフフッと笑って言った…。
「一輝の父親が俺の親父だって事」
朔也の言葉に私は驚いて顔を再び上げてじっと見つめた。
「…朔也…気づいてたの…?」
「うん…
高校入ってすぐの頃にさ…
…見ちゃったんだよね。
一輝名義の預金通帳」
「…朔也…」
「一輝の1歳の誕生日からずっと毎月積み立てしてあるんだもん。
さすがに気づくだろ…」
どことなく寂しそうに笑う朔也に私の胸が痛む…。
「美月は一輝をどう思ってるの?」
「えっ?」
突然放たれた朔也の言葉に私は戸惑った。
「アイツはさ…美月が好きだって言ってたよ。
本当は美月も一輝の気持ちに気づいてるんだろ?」
じっと私の瞳を見つめる朔也に私は自分の思いを正直に伝えなきゃいけないって思った。
「…私は…
朔也が好きだよ。
向井くんに持ってる感情は…
朔也に対する思いとは全く違う。
…だけどね…
私も朔也に話さなきゃならない事があるの…」
真っ直ぐに見つめ返した私に朔也の表情がこわばって行く。
「私…医者になりたいの…。
…それも…
海外派遣医師を目指したいって思ってる」
その言葉に朔也の目が大きく見開いた。
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