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「どういう事…?」
私は朔也にパパとママの出会い、パパの最後まで貫いた人生、
そしてそれを誇りに思い、パパのように生きてみたいと思う自分の気持ちを朔也に話した。
「…それって…将来俺の奥さんにはなれないって事…?」
「…そうじゃない。
だけど…海外に行ける医師になるまでに最低でも8年はかかる…
それでも私はやっぱりその道を進みたい…
進路指導にもそう書いたの…
だから3年のクラス編成希望には…
特進クラスを選択したの」
しばらく黙り込んだ朔也がふーっとため息を吐く。
「そっか…
やっと美月は自分のやりたい事を見つけられたんだ…」
「…うん…
だけど…朔也はこんな私でも今まで通りに…
好きでいてくれるのかなって思って…
怖くて…なかなか話せなかった…」
少し潤んでしまった瞳で朔也をじっと見つめる。
「…解ったよ…
だけど進学まではまだ1年以上あるし…
それまでに俺と美月の将来もじっくりと考えよう?
出来る事なら俺は美月を失いたくはないから」
微笑んで言ってくれた朔也に私はコクンと頷いた。
「朔也…ありがとう…」
ポロポロと涙を零し始めた私を朔也がぎゅっと抱きしめてくれる。
温かくて安心出来る朔也の胸の中…。
だけど…
私はいつまでこの胸の中に包んでもらえるのかな…。
そんな思いを抱えながら朔也の背中に手を回した…。
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