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「もしもし、初めまして。
僕は、美月ちゃんと同じサークルの大野右京と言います。
今は美月ちゃんはあなたしか見てないみたいですが…
いつか必ず僕のものにしますのであしからず」
…はぁぁっ??
「ちょっ…先輩!何言ってるんですか!」
必死に携帯を取り返そうとする私をヒラリとかわした先輩はニコリと笑って
「僕に奪われたくなかったらこの子をしっかり捕まえておいて下さいね。では」
電話の向こうの朔也に挑発的に言った先輩はすっと私の手に携帯を返す。
渡された携帯を手に呆然とする私に微笑んでから大野先輩は踵を返して去って行った。
…な…な…何?
慌てて携帯に耳を当ててみたら、沈黙してる朔也…。
「さ…朔也…?
今のは先輩の冗談だから…
ごめんね、気分悪いよね…」
『…いや…
別に大丈夫だよ。
ちょっとビックリしたけど…
…まだ今の人、隣にいるの?』
「ううん、あんな悪戯しておいてサッサとどこか行っちゃった」
『そっか…
まぁ今夜の最終だから…
遅い時間になるけど待ってて』
「うん解った…」
『じゃあ美月またあとでね』
プツッと切れた携帯を見つめながら私は立ち尽くしていた。
…やっぱり大野先輩って最低。
あんな人…大っ嫌いだ!
そう思いながら私は庭園に戻り、植えかけだった花にバサバサと土をかけた。
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