夢に向かって

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「美月ちゃんいらっしゃい! 卒業おめでとう!」 明るく迎えてくれた朔也のお母さん。 「ありがとうございます! 今日はお招き頂けてすごく嬉しいです!」 「ゆっくりして行ってね!」 リビングに案内されるとすでにテーブルにいっぱいの料理が用意されていた。 サイドボードの写真立てには、朔也と向井くんの成長の写真の間に 優しく微笑むお父さんの写真が飾られている。 「一輝くんは?」 お母さんの問いかけに、朔也が 「支度したらすぐ来るって」 って答えるとお母さんはニッコリと嬉しそうに笑ってる。 お仏壇の前でお父さんにお線香を上げてからリビングに戻ると、呼び鈴が鳴った。 「一輝くんいらっしゃい! 卒業おめでとう!」 やっぱり明るく迎えたお母さんに向井くんも少し照れながら 「ありがとうございます。 おじゃまします…」 と頭を下げた。 「さぁさぁみんな揃ったしまずは乾杯しましょ!」 すっかりハイテンションなお母さんと4人でジュースで乾杯した。 お母さんが用意してくれたのは手巻き寿司に、やっぱり朔也の好物の唐揚げと生ハムサラダ。 それにけんちん汁まで用意してくれていた。 「一輝くんはこれが好きだったわよね?」 そう言ってお母さんは向井くんに角煮を差し出した。 「おばさん覚えててくれたんですか?」 「覚えてるわよー。 小学校1年の時だったわよね? 海水浴に行った時に泊まった旅館の夕食に出た角煮を 美味しい美味しいって朔也の分まで食べちゃって 朔也が大泣きしちゃったのよねー」 「あの頃は朔也も泣き虫だったもんな」 「おいおい! 母さんも一輝も、美月の前でカッコ悪い事を暴露するなよ!」 焦って言う朔也にみんなで大笑いした。
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