壊れたクロス

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学食から飛び出した私の腕を誰かがガシっと掴む。 「やぁ美月ちゃん、顔色悪いよ? どうしたの?」 掴まれた腕から見上げて行くと、そこにはニコリと笑った大野先輩がいた。 「…先輩…離して下さい…」 ただならぬ私の表情に大野先輩の笑顔が消える。 「…何があったの?」 「…朔也が……」 「えっ?…朔也って誰…?」 取り乱しそうになってる私を追いかけて来た優香が 「大野先輩! 美月の彼氏が事故にあったみたいなんです! 行かせてあげて下さいっ!」 そう叫んだと同時に、掴まれていた腕が外された。 と同時にフラっとした私を再び大野先輩が両手で支える。 「美月!しっかりしな! 早く朔也くんに会いに行ってあげなきゃ!」 優香に言われ私は頷いて、再び走り出した。 「美月ちゃん!一人で大丈夫なの?!」 大野先輩が私を呼んでた気がしたけど… もうその声に振り向く余裕なんか私にはなかった…。 …朔也…? なんで…? なんで名古屋で事故なんてするの? 怪我してるの? サッカーに支障ないの? 頭の中をただ疑問だけが渦巻いて行く。 昨日メールくれた時、明日は珍しく丸一日オフだから神戸の宿舎でゆっくりするって書いてあったのに… …………なんで?
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