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翌日の講義を終えた私を、いつものように壁に寄りかかって待ってくれてた大野先輩が
「美月、帰ろう」
そう言って私の手を引いた。
「あの…先輩…。
話したい事があるの…」
その言葉に足を止めた先輩がじっと私を見つめる。
「…そっか。
じゃ落ち着いて話したいから僕の部屋でいい?」
「…ううん
…出来ればどこかのカフェとかがいい」
しっかりと先輩の目を見て言った私に大野先輩はクスっと笑った。
「僕にもね、体裁ってものがあるから。
やっぱり僕の部屋にして。
解るよね?」
…先輩は私が何を話したいのか解ってるみたいな気がする。
「…解った…」
諦めて先輩に手を引かれたまま、通いなれた部屋へと通される。
ベットに腰かけた先輩が、私の手を引いてそのまま私を自分の膝に座らせた。
後ろから抱きしめて大野先輩の顔が私の肩に乗せられる。
耳元で吐き出された、先輩の悲しそうなため息に改めて先輩の思いに気付かされた。
だけど…
ちゃんと向き合わなきゃいけない。
「先輩…ありがとう」
「何が…?」
「…私がもうリスカなんかしないように…
恋人のふりって言って…
ずっとそばにいてくれたんだよね…?」
その言葉に私を抱きしめる先輩の腕がピクリと揺れる。
「…何の事…?
僕はただ君を自分の人形にしたかっただけだよ?」
「…先輩…」
「僕はそんな心優しい男じゃないのは君が一番良く知ってるでしょ?
好きでも何でもない女だって僕は抱けるし、キスもするんだから」
先輩の放った言葉で私は確信した。
…ああ…
そうだったんだ…
やっぱり大野先輩も向井くんや朔也と一緒だったんだ…。
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