初めての嫉妬

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翌日、朔也の時間が許す限り、私達は何度も交じり合った。 二度とこの温もりを忘れないように、お互いの体に刻みつけるかのように… 「これからは東京で試合ある時は、例え10分しか会えなくても来るから」 ポンポンと私の頭を叩いて微笑む朔也に私は笑って頷く。 「午前中の講義、休ませちゃってゴメンな」 申し訳なさそうに言った朔也に 「大丈夫、ちゃんと勉強してるから」 って胸を張って答えると朔也もウンと笑って頷いた。 滑り込んで来た電車に乗り込む朔也をホームで見送る。 「なるべく電話するからな」 「うん…」 「じゃあ美月も勉強頑張れよ」 微笑んだ朔也と私の間をゆっくりと電車のドアが遮った。 ガラス越しにじっと見つめ合った私と朔也を動き出した電車が再び引き離して行く。 見えなくなるまで電車を見送った私は、クルリと背中を向けてエスカレーターに乗り込んだ。 また…会える日まで… 私も頑張ろう。 さっきまで朔也と繋がってた手のひらをじっと見つめたあと、私はその手をぎゅっと握りしめた。
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