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ところが実際は、
それよりも悪い方向に
事態は進んだ。
同じクラスで
カースト上位の今川に
目をつけられてしまったからだ。
今思えば何でもないことのように
思えたが、
当時の直機にとってみれば
すぶすぶと、どこまでも
エスカレートする
今川の悪ふざけに
対抗する術を持たず
アリ地獄にでも落ちた感覚で
昨日より、
ちょっと不幸な一日が
毎日訪れることに
ただただもがき、苦しんでいた。
今川に
目をつけられたキッカケは、
彼が英語の授業を
ボイコットしようと
言い出した時に、
直機が水を差したから。
ターゲットとなったのは
全く非のない新人教師。
彼女の悲しむ反応を思うと
直機には、
到底耐えられなかった。
だが正義の所在がどこであれ、
今川にとっては
クラスに自分に
逆らうやつがいる
ということ自体が問題だった。
今川は自分がクラスを
掌握するにあたり、
どんな綻びも許さなかった。
不安の芽は
小さい内に摘んでおけ。
今川は、そういう人間だった。
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