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◇零◇
少女が風を切り空を飛ぶ。
少女がまたがる乗り物は、
車くらいの大きさで、
飛行機のような形の土台に、
バイクのような運転席。
少女は、座席から
30センチほど腰を浮かし、
白地に水色のラインの入った
プリーツスカートを
けたたましくバタバタと
はためかせていた。
少女は
カメラの30メートルほど
前方を飛んでいる。
はためくスカートの間から、
しばしば付け根まで
あらわになる大腿部と
たまに見え隠れする臀部は
よく鍛えられて
引き締まっていた。
カメラを切り替えると、
画面いっぱいに少女の横顔。
彼女は口を
きっと真一文字に結び、
ただ真っ直ぐに前を見ていた。
瞳は強く、鬼気迫る。
(気合十分だな。頼むぞ……!)
やがて彼女は、
その視界に何か捉えたか、
舞い落ちる木の葉のように
機体の裏側を見せて
ひらりとやわらかく反転し、
急降下した。
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