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少女は「獲物」との距離を
詰めていく。
後を追う無人カメラも
置いて行かれそうなスピードで。
ババ
バッバッバッ
遥か先の海面に
水しぶきがあがる。
少女が引き金を引いたのだ。
映像からは確認できないが、
「獲物」は海面すれすれを
飛行しているのだろう。
――その刹那、
ババババ
今度は少女の後方から銃声が響き、
銃弾が彼女の脇を掠める。
(危ねーな、おい!)
慌てて映像を切り替えて
少女の後方を確認するが、
発砲者の姿は見えない。
少女の背には、
ただ一面の雲の壁があるだけだ。
少女は速度を落とさず、
自分の獲物を追い続ける。
後方からの掃射の主は、
敵か味方か、わからない。
ほどなくして、
少女の後方の雲間から一機、
そいつは姿を現した。
銃口は、
少女の方に向けられていた。
(――!)
敵だった。
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