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◇弐◇
直機がこの空母に着任してから
もうすぐ3ヶ月が
経とうとしていた。
少女たちと昼夜を共にして、
直機にはひとつ
わかったことがあった。
己の命をかけて戦う少女たち、
その胸に秘める強さは、
死にゆく覚悟でも、
命を奪う覚悟でもなくて
ただ神の決めたその筋書きに
抗うことなくしなう覚悟
であると。
運命を受け容れるがゆえに
彼女たちは
強い。
(自分も少しは
強くなれただろうか。
いま再び、
あのクラスに戻ったら、
胸を張って
みんなと話せるだろうか。
毎晩、次の日を楽しみに
することができるだろうか)
ゆっくりと下がっていく
エレベータの中から
うすべに色に
染まる空を眺めて、
直機は自分に問うてみた。
そして、
ここに来る前の自分の生活を
その消しされたい黒歴史を、
思い出し、
一瞬、苦い表情を浮かべた。
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