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「若様。どちらへ参られるのです? 」
家来が美しい姫を呼び止める。
「少し海まで。」
そう、姫は笑顔で応える。
「とは言われましても若様。若様はこれから稽古を控えていらっしゃると、先程国親様からお聞きしましたよ? 」
姫は少しむすっとした表情を浮かべ、
「私は姫じゃ。稽古など必要ない。」
そう言って走り出す。
「弥三郎様……。」
家来はため息を吐く。
「まったく弥三郎様は、いつになったら姫若子を卒業なさるのやら。」
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