1章【全ての始まり】

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私はなんでここにいるんだろう。 やりたくないことのために戦って。 手に入るのは望みもしない未来とむなしさだけだ。 ……。 と、その時だった。 身体にブワッと鳥肌が立ち、同時に森がざわめくように揺れた。 まるで目に見えないなにかが共鳴しあっているような感じ。 私はこの感覚が何であるかを知っている。 これは勝術が一気に増加した時に起こる現象だ。 これが起こるのはいつも戦闘の始まりの瞬間。 お互いの戦導勝術士が力を出すときだった。 でも今はその始まりの時ではない。 きっとこれは相手方の……。 そう考えているうちに、森のいろんな場所から赤色の導術球が出現した。 「……!」 導術球とは戦導勝術士がつくりだす生命球のこと。 戦導勝術士は少量のエルギーをこの球に込め、様々な攻撃技を繰り出す。 その方法は未知数。 とにかく彼らはこの導術球を利用しての様々な攻撃と、私達エルギーを持つ者の能力を上昇させる補助技を使用することができる。 いわばエルギー変化のスペシャリストといえる。 広い戦場を一瞬にして把握する、万人にはいくら努力しようとも真似できない奇跡の目。 そして彼らはその目を使い戦場を眺め、適材適所に己の力を割り振っていく。 いわば全軍隊の指揮官だ。 相手方の戦導勝術士……。 私達のいる場所に勝術を発生させたって事はリジン様を狙っている?
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