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カイン様はふうっと呆れに近いため息をついた。
「そうか。……君がアスラを治療したのか」
「……」
私は目を瞑ったままで頷いた。
怖くてカイン様の顔を見ることができない。
「ネリシャ」
「は、はい」
「これは立派な裏切りだよ。わかる?」
「ご、ごめんなさい……!! 本当にごめんなさい……」
謝ることしかできない。謝って許されることじゃないのは分かっているのに。
「君の失敗は今まで多目に見てあげたよね? それは君が僕のために頑張ってくれていたからだよ。でもね。流石に今回は無理だよ。見逃せない」
「……」
「……今日から君は回復の為だけに生きることになる。会議で決まったよ。君にもう人としての価値はない。当然だよね。……裏切り者なんだから」
吃驚するぐらいの低い声だった。
「そんな……!」
「分かってるの? 君のせいでジエル側の大切な兵が大勢死んだ。ネリシャ、本当に君には失望したよ。君には愛国心ってものがないんだね……」
優しかったカイン様。
そんな彼から私は愛想をつかされてしまった。
当然だ。
だって私は……。
「……っ」
もう戻れない。
私はカイン様を裏切ったんだ……。
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