3章【冷たい牢獄】

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牢の中を改めて見回す。 牢内にはボロボロになった掛け布団なしのベッドとトイレがあるだけだった。 窓はない。 明かりは剥き出しになった電球が幾つかあるだけ。 トイレに至っては地面に穴が開いているだけの実に粗末なつくりだった。 蓋を開けると強烈な匂いが充満する。 ……私の前にこの牢に入っていた人がいたんだ。 牢前の通路には見張りの兵が時間を決め巡回しているようだった。 何分かおきにこの牢の前を横切る事からそれが分かる。 トイレはこの見張りがいない時にするしかなさそう。 トイレする所を人に見られるなんて流石に恥ずかしいもの。
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